E-7ビザの年収基準と最低賃金要件 完全ガイド
E-7ビザでは、年収基準ひとつで合否が分かれるケースが最も多く見られます。前年度の1人当たりGNI(国民総所得)の80%以上が基本ラインで、2024年基準では年収およそ3,440万ウォン、20252026年基準では約3,600万ウォン前後が実務上のカットオフとして機能しています。職種によってはGNIの70%まで緩和される一方、特定の優秀人材職種ではGNIの1.52倍が求められることもあります。
押さえておきたいポイントはこれです。契約書に記された年収が基準を超えていれば終わりというわけではなく、実際の支給構造、手当の算入可否、会社の売上に対する賃金の妥当性まで審査で一緒に確認されます。書類の枚数を揃えても、この説明が不十分だと補正要求や不許可に直結します。以下では、基準金額、計算方法、職種別の例外、実際の審査で詰まりやすいポイントを一つずつ解きほぐしていきます。
1. E-7年収基準の基本原理 — GNI80%とは何か
E-7ビザの年収基準の出発点は、**前年度の1人当たり国民総所得(GNI)の80%**です。韓国銀行と統計庁が発表する1人当たりGNIをベースに、毎年法務部が審査用の基準額を告示します。
GNI基準を用いる理由
単純に最低賃金を基準にせずGNIを使うのは、外国人専門人材の賃金水準が内国人の平均所得に届かなければ、専門職として雇用する大義名分が弱くなるためです。実際の審査では「この外国人が受け取る報酬が内国人の平均労働者より低いなら、そもそもなぜ外国人を雇う必要があるのか」と逆方向から見られる、と理解しておくと分かりやすいでしょう。
80%に設定されている意味
100%ではなく80%に下げられているのは、新卒・初級レベルの専門人材を受け入れる余地を持たせるためです。経験が浅かったり初任給水準の給与では平均GNIに到達しづらいので、80%をカットオフにしている構造です。裏を返せば、80%は最低ラインであって合格ラインではありません。基準をぎりぎり満たした書類は、会社規模や職務難易度と併せて再評価されます。
雇用労働部基準との違い
雇用労働部の雇用許可制(E-9)は最低賃金法が直接適用されますが、E-7には法務部の出入国基準が別途設けられています。つまり、最低賃金さえ超えればOKというビザではなく、最低賃金よりはるかに高いGNI80%を満たす必要があります。
2. 2026年適用基準額と年度別の変動
1人当たりGNIは毎年変動するため、E-7の年収カットオフも毎年少しずつ上昇します。年度別の大まかな流れは以下の通りです。
| 適用年度 | 基準GNI(1人当たり、ウォン) | GNI80%(一般職種カット) | GNI70%(緩和職種) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 約4,048万 | 約3,238万 | 約2,834万 |
| 2023 | 約4,220万 | 約3,376万 | 約2,954万 |
| 2024 | 約4,300万 | 約3,440万 | 約3,010万 |
| 2025 | 約4,500万 | 約3,600万 | 約3,150万 |
| 2026(適用予定) | 約4,600万前後 | 約3,680万前後 | 約3,220万前後 |
契約書の基準日と適用時点
実務でよく混乱するのが「どの年度の基準を適用するか」です。通常は申請日を基準とするのではなく、その年度の便覧が適用される時点で判断します。年末・年始に申請する場合は新基準が適用され始めるタイミングなので、年初の申請者は必ず更新後のGNI80%の金額に契約書を合わせ直しておくと安全です。
3. 職種別の差別化された基準 — 70%、80%、100%、150%
E-7は一括りに見えますが、実際の審査基準は職種ごとに異なります。まずは数字から整理しましょう。
| 区分 | 年収基準 | 対象職種(例) |
|---|---|---|
| 一般E-7職種 | GNI80%以上 | 一般事務・技術職、大半の管理者・専門家職種 |
| 緩和適用職種 | GNI70%以上 | 熟練技能人材の一部、観光通訳、一部の素材産業(ルート産業)職種 |
| 準専門・技能職の一部 | 最低賃金以上の別基準 | E-7-3、E-7-4の一部職種 |
| 高所得優秀人材 | GNIの1.5倍または2倍以上 | 先端技術の研究開発、特定の優秀人材トラック |
E-7-1、E-7-2、E-7-3、E-7-4の区分
俗に「E-7」と一括りで語られがちですが、実際の審査は細目コードごとに分かれます。
- E-7-1(専門人材): 85の専門・管理職種。基本はGNI80%が適用され、優秀人材ルートでは1.5~2倍が求められる。
- E-7-2(準専門人材): 事務補助、免税店販売員など。年収基準は比較的低めに設定。
- E-7-3(一般技能人材): 溶接工、船舶塗装など特定技能人材向け。最低賃金+αの構造。
- E-7-4(熟練技能人材点数制): E-9・H-2から切り替える経路。点数制と年収要件がミックスで適用。
優秀人材ルートの落とし穴
「年収を多く払えばもっと有利になるのか」という質問をよくいただきます。実は、GNI1.5倍・2倍ルートは学歴・経歴要件を免除または緩和する代わりに、年収を高く要求するというトレードオフです。逆に言えば、学歴・経歴が十分であれば、無理して年収を釣り上げる必要はありません。会社が負担しきれない年収を契約書に書き込むと、むしろ賃金支給能力の審査で引っかかることになります。
4. 年収計算に含まれる項目と除外される項目
ここが多くの人がつまずくポイントです。契約書に「年収3,700万ウォン」と書いてあっても、その中に何が含まれているかによって、実際に認定される年収は変わってきます。
原則 — 通常賃金ベース
E-7審査で見られる年収は、税込みの基本給+固定手当が中心です。月給×12で換算可能な固定的・一律の金額が基本になります。
| 項目 | 年収への算入 | 実務メモ |
|---|---|---|
| 基本給 | 含む(○) | 最も中核。月基本給×12で換算 |
| 固定の食事代・交通費 | 限定的に含む | 非課税枠内は認定されないケースあり |
| 定期賞与(年2回以上の定期支給) | 含む(○) | 契約書・就業規則への明記が必要 |
| 成果給(変動) | 原則除外 | 支給保証がなければ年収としてカウントされない |
| 時間外・深夜・休日手当 | 除外 | 労働時間に連動するため年収に算入不可 |
| 社宅提供・車両貸与などの現物 | 除外 | 福利厚生であり賃金としては認定されない |
| 退職金 | 除外 | 年収内包型の契約でも出入国では除外して判断 |
特に見落としやすいポイント — 「社宅提供込みの年収」
中小企業でよく見かける形です。「年収3,600万ウォン、社宅提供」と記載された契約書。しかし実際の審査では社宅の価値を年収に合算しないため、基本給+固定手当だけで改めてGNI80%を計算することになります。この再計算で下回れば、即補正要求です。
包括賃金制のリスク
包括賃金制で「時間外手当込みで月300万ウォン」と表記されていると、実務では時間外手当分を差し引いた基本給だけが残ります。そうすると年収が一気に下がります。包括賃金制で契約するなら、時間外手当と基本給を分離して明記する形で契約書を書き直すのが安全です。
5. 最低賃金法とE-7年収基準の関係
E-7の年収基準は最低賃金と直接の関係はありませんが、実務では両方の基準を同時に確認する必要があります。
2026年の最低賃金基準
2026年の韓国の最低賃金は、発表された時給×209時間で換算すると月額換算値が出ます。2025年基準(時給10,030ウォン前後)でもすでに月換算で約210万ウォン水準、年収に換算すると2,500万ウォン台です。この金額はGNI80%基準(約3,600万ウォン)よりはるかに低い水準です。
ではなぜ最低賃金を気にする必要があるのか
理由は2つあります。
- 労働基準法上、最低賃金違反の契約は労働契約そのものが無効になります。GNI80%を超えていても、時給換算で最低賃金を下回れば契約自体が法的に問題です。
- 労働時間が極端に長い契約は、時給換算すると最低賃金を下回る可能性があります。例えば年収3,600万ウォンでも週60時間勤務の契約であれば、時給が下がって最低賃金を割り込みます。
実際の審査での確認フロー
| ステップ | 確認内容 | 未達の場合 |
|---|---|---|
| ステップ1 | 契約書の名目年収がGNI基準(70%・80%・150%)を超えているか | 書類補正または不許可 |
| ステップ2 | 算入可能な賃金だけで基準を超えるか | 実質年収を再計算、不足時は補正 |
| ステップ3 | 時給換算額が最低賃金以上か | 労働契約の再作成を要求 |
| ステップ4 | 会社に実際の支給能力があるか(売上・資本・既存の給与水準) | 招請企業の再審査 |
6. 会社規模・売上と年収のバランス審査
年収が高ければそれでよし、というわけではありません。実際の審査では招請企業がその年収を支払える体力を備えているかも併せて見られます。ここで差がつきます。
会社は小規模なのに年収だけ大きい場合
年間売上3億ウォンの会社が外国人専門人材に年収5,000万ウォンを約束した契約書を提出すると、審査官は即座に虚偽・誇張の疑いとして見ます。会社売上に対する賃金比率が非現実的だと、かえって年収5,000万ウォンが書類上だけの架空の数字に見えてしまいます。
内国人従業員の賃金との比較
もう一つよく引っかかるのがここです。内国人従業員の平均年収が2,800万ウォンの会社で、外国人にだけ3,700万ウォンを支払うと言うと、審査官は「それほど重要な職務なら、なぜ内国人にもっと払って雇う選択肢を検討しなかったのか」と疑問視します。逆に、内国人平均より外国人が極端に低い場合も問題です。
実務で通用するバランスゾーン
- 内国人の同一職務平均の±20~30%の範囲が最も自然に見えます。
- 会社の年間売上に対する1人当たり人件費比率が、業種平均から大きく外れないようにしましょう。
- 招請する外国人の賃金が代表取締役・役員の給与より高い場合は、別途の説明が必要です。
- 労働契約書に基本給・定期賞与・固定手当が項目別に分離されているか
- GNI基準(70%・80%・150%)を算入可能な賃金だけで満たしているか
- 時給換算額が当該年度の最低賃金を上回っているか
- 招請企業の売上・資本・既存の賃金水準で、当該年収を支払えるか
- 社内の同一職務の内国人平均賃金と比較して、説明できる水準か
- 包括賃金制の場合、時間外手当の分離明記がされているか
- 社宅・車両提供を賃金に合算して表記し、実際の基本給が過小評価されていないか
- 賞与金が「経営成果次第で」のように変動要素のみで表記されていないか
- 前年度の源泉徴収票または給与台帳が契約年収と整合しているか
7. 延長・変更時の実支給年収の立証
最初の申請は契約書ベースで進みます。しかし滞在期間の延長段階では、「実際にその年収が支払われていたか」を立証しなければなりません。実務で延長がつまずく代表的なポイントです。
延長時に必要な立証書類
| 書類 | チェックポイント | 引っかかりやすい点 |
|---|---|---|
| 勤労所得の源泉徴収票 | 総給与の項目が契約年収と一致しているか | 契約書では3,600万なのに源泉徴収は2,900万 |
| 給与振込履歴(通帳のコピー) | 毎月規則的に入金、会社名義で支給されているか | 現金支給、代表個人口座からの振込 |
| 4大保険加入履歴 | 届出された月額報酬が契約年収と合っているか | 保険料圧縮のため月額報酬が低く申告されている |
| 給与台帳・給与明細書 | 項目別の内訳と契約書の構造が一致しているか | 時間外手当・成果給が基本給のように表記 |
実際には年収が少なく支給されていた場合
審査官が最も敏感に見る部分です。契約書に3,600万ウォンと書いておきながら、実際の振込額が年間2,900万ウォンなら、虚偽契約または賃金未払いと判断されます。どちらに転んでも延長不許可の理由になります。
年収の減額・増額時の届出
在職中に年収が変わった場合は、勤務先変更・変更届を出すか、延長時に理由書を添付する必要があります。会社の経営悪化で年収が下がった場合でも、その引き下げ後の年収がGNI基準を割ってしまうと延長が認められない可能性があります。
8. よくあるミスと不許可事例
現場で頻繁に目にするミスのパターンを集めました。
ミス1 — 社宅費・食費を年収に合算して記載
「年収3,700万ウォン(社宅・食費込み)」と書くと、実際の基本給は3,200万ウォン水準に再計算されます。GNI80%基準(約3,600万ウォン)に届かず、即補正です。
ミス2 — 成果給・インセンティブを年収に大きく計上
「基本給月250万ウォン+年1,000万ウォンの成果給」は合計4,000万ウォンに見えますが、審査では成果給を除いた月250×12=3,000万ウォンのみが年収として認定されます。基準未達です。
ミス3 — 包括賃金表記で時間外手当を含める
「月320万ウォン(時間外手当込み)」と書いていると、審査官は時間外手当分を差し引いた残りの基本給で再計算します。分離明記されていない包括賃金契約は、ほぼ必ず損をします。
ミス4 — 会社売上に対して過大な年収
年間売上2億ウォンの会社で年収4,500万ウォンの契約。書類上の基準はクリアしていても、支給能力審査で引っかかり、招請企業そのものが差し戻されることがあります。
ミス5 — 内国人従業員の賃金との逆転
同一職務の内国人従業員が月220万ウォンなのに、外国人には月310万ウォン。「外国人優遇の疑い」というより、**「この会社が実際にそれだけの金額を支払える体力があるのか」あるいは「契約書だけ取り繕っているのではないか」**という方向に疑念が膨らみます。
ミス6 — 年収を基準ギリギリに合わせて提出
GNI80%基準が3,600万ウォンの時、ちょうど3,600万ウォンぴったりで出すと、算入対象外の項目が一つ引っかかっただけで未達になります。実務では基準に対して10~15%の余裕を持たせて設計するのが安全です。
ミス7 — 労働時間・勤務日条項がない契約書
年収だけが記載されていて、週の労働時間が書かれていない契約書は時給換算ができず、補正事由になります。場合によっては「曖昧な勤務条件=虚偽の疑い」へと話が流れることもあります。
実際の不許可・補正事例まとめ
| 事例 | 表面上の年収 | 審査結果 | 原因 |
|---|---|---|---|
| A(IT開発者) | 3,800万 | 補正後に許可 | 成果給1,200万を除くと基本給2,600万。追加契約で補正 |
| B(ホテル管理職) | 3,650万 | 不許可 | 社宅提供900万を合算、実質基本給は2,750万 |
| C(研究員、優秀人材) | 6,800万 | 不許可 | 会社売上4億、支給能力の立証不足 |
| D(熟練技能人材への切替) | 3,300万 | 許可 | E-7-4の緩和基準を満たし、点数制で加点を確保 |
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 契約書の年収がGNI80%にぴったり一致していれば問題ありませんか?
A. ぴったり合わせた契約書はむしろ危険です。審査の過程で算入対象外の項目が一つでも出てくれば即未達に落ちます。実務では基準に対して10~15%ほどの余裕を持たせて設計する方が安全です。例えば基準が3,600万ウォンなら3,900~4,000万ウォン程度で記載しておけば、社宅手当の一部が除外されても通過の余地が残ります。
Q2. 成果給・インセンティブを年収に含めてGNI基準を満たすことはできますか?
A. 原則として不可能です。成果給は支給が保証されない変動給なので、審査では除外されます。どうしても含めたい場合は、契約書と就業規則に「年2回以上の定期支給」「最低保証額○○万ウォン」のように支給が確定している賞与として構成する必要があります。「会社の業績に応じて」と始まる文言はほぼ認められません。
Q3. 最低賃金を超えていればE-7の年収基準を満たしたことになりますか?
A. なりません。最低賃金とE-7の年収基準は別物です。2025年基準で最低賃金の年換算額は約2,500万ウォン台ですが、E-7のGNI80%は約3,600万ウォンです。両方を同時に満たす必要があり、GNI基準の方がはるかに高いです。最低賃金は労働契約の法的有効性を、GNI基準は出入国審査の通過可否を決めます。
Q4. 会社が社宅を提供してくれるなら年収は低くても大丈夫ですか?
A. 社宅提供は福利厚生に分類されるため、年収には合算されません。月50万ウォン相当の社宅を提供しても年収換算には反映されないので、基本給だけでGNI基準を満たす必要があります。社宅提供を根拠に年収を抑えた契約書は、ほぼ補正要求を受けることになります。
Q5. 延長時に実際に受け取った年収が契約書より少なかった場合はどうなりますか?
A. 虚偽契約または賃金未払いのいずれかと判断され、延長不許可につながる可能性があります。源泉徴収票・給与振込履歴・4大保険の月額報酬の3点が契約書の年収と整合している必要があります。会社の事情で実際の年収が下がった場合は、下がった後の年収がGNI基準を依然として超えているかをまず確認し、超えていなければ延長前に別途の補正戦略を準備しなければなりません。このケースは単独で判断しづらいので、管轄出入国への事前照会をおすすめします。
10. ご相談のご案内
E-7の年収基準は、表面上の数字さえ合えばいいというものではなく、契約構造・会社の財務・実際の支給立証が噛み合って判断されます。基準ラインに近い領域ほど、書類上の一行の書き方ひとつで結果が分かれます。
ビジョン行政士事務所は、E-7ビザの新規申請・延長・変更の全般にわたって、年収構造の点検、契約書の書き直し、会社の支給能力の立証設計を総合的にサポートしています。
ビジョン行政士事務所(VISION Administrative Office)
- 電話: 02-363-2251
- メール: 5000meter@gmail.com
- 住所: (04614) ソウル特別市中区退渓路324、3階(ソンウビル)
契約書のドラフトと会社の売上資料を一緒にお送りいただければ、実際の審査基準で引っかかりそうなポイントを事前にチェックしてお伝えします。
